布関係の出展作家、今年は11組。
先日ご紹介したVANILLAさんは服づくり。
ほかに、フェルトがふたり、帆布のバッグづくりの方がひとり。
そして7名の作家が織りでの布づくりの方々。
充実しています。
そして、それぞれに素材、技法、目指すものがさまざまなのです。
表面的に、これが好き!あれが好み!
という見方もアリですが、
7人が何をもって布づくりの道に進んでいるのか、
その根っこの違いに触れてみるのも、
「工房からの風」ならではの深い楽しみ方だと思います。
もっとも、当の7人の作家たちにしたら、楽しいというよりも、
それはある意味厳しく、
自分の仕事が晒される緊張感があることでしょう。
でも、たくさんの目と心ある方々に
自分の仕事を晒してこそ進化成長できるはず。
そして、未来の真の作る喜びに続く航路を
見出していけることと思います。
なーんて、かなり、まじめに書きましたが、
今さっきまで、色葉工房の庄子葉子さんと電話でそんなこんなを、
わははと笑いながら真剣に話していたので。
皆さん、最終段階で何をどのように見ていただくか、
迷いもうまれることでしょう。
でも作家の皆さんには信じてほしいのです。
「工房からの風」にやってきてくださるお客様方を。
ちゃんと見てくださいますから。
キビシクもあたたかい。
選ぶ人と作る人のよき交流から、次の実りが育まれる。
そう願い、信じて、私は企画を進めています。
Q
色葉工房さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?
A
手紡ぎのウールで織ったマフラーや
シルクのストールなどの巻き物を中心に
リネンのポーチ、袱紗、カードケース、
ブックカバー、ポットマット、コースター、ブローチなどを出品します。
身近な植物で染色した糸や生地を使って作ったものが多いです。
ふんわりと草木の色が薫るような布を お届けできればと思っています。
まあ、なんてふんわり輝く大判のストール。
思いっきり素のまま、織りあげられたのですね。
「庄子さん、桜のひこばえで染めてみる?」
初夏のgalleryらふとでの「風の予感展」のとき、
ふと、投げかけてみました。
木の根元から生えてくる若芽、ひこばえ。
庄子さん喜んで受け取ってくださいました。
秋の日、花びらのかたちをしたコースターが、
庄子さんから届きました。
「私はそういうことがしたかったのだと、
改めてじわじわ気がつきました」
そう言葉が添えられて。
上のストール。
いただいたコースターと同じひこばえから染めた糸からのもの。
糸や色といった素材の力をまるごと信じ、
素材に恋していないと織りあげられないでしょうね、こういう布は。
頬がぽっと染まりそうな想いのこめられた布。
展示でぜひ見てみたいですね。
(コースターのお礼にとお送りしたコブナ草で、
今度はレモン色を染めましたと庄子さん。
工房からの風では、今年のレモンにちなんで、
レモンイエローのコースターも出品くださるそうですよ)
Q
色葉工房さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?
A
春に選考通知を受け取った時、
私の心に吹いた風は 無色透明の風でした。
それから半年間、立ち止まって考えることも多かったのですが、
想像していたよりもずっと力強い風に背中を押されるようにして
なんとか制作の手を止めずに過ごすうちに、
ぽつりぽつりと温かい色が灯ってきたような感じです。
当日の二日間は、みんなの風が集まって
会場全体でどんなふうに響き合うのか、
とてもワクワクしています。
Q
お名前、あるいは工房名についての由来、またはエピソードを教えてくださいますか?
A
庄子葉子と申します。
とても単純ですが、8月8日(葉っぱの日)生まれなので
葉子という名前になりました。
色葉工房(いろはこうぼう)という工房名も そこからきています。
もみじの葉が紅く染まる頃に始まった工房です。
紡ぐ 染める 織る
一枚の布ができるまでの行程を できるだけ自らの手で との想いも込めました。
葉子と名付けてくれた祖父は、
農業の傍ら 自ら育てたほうきの草でほうきを作っていました。
祖父が亡くなり30年が経ちますが、
祖父の作ったほうきは 今でも大切に使っています。
そのほうきを手にする時、
もしかしたら私が将来こういう仕事をするということを
祖父は知っていてこの名前をくれたのかもしれないと、
ふと そんなことを思ったりします。
美しいお名前に、素敵なストーリーですね。
色葉工房さんがある仙台は、
8月8日が七夕まつりの最終日。
織姫と彦星の七夕。
今、こうして庄子さんが機織りをなさっているのも、
きっと自然な巡りあわせなのかもしれませんね。
そして、色葉工房さんが出店する場所は「おりひめ神社」!の脇。
正面の右手側の樹々に囲まれた空間です。
色葉工房さんのブログはこちらになります。
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written by sanae inagaki